E.MARINELLA

マリネッラ商品の背景
~「いえ、山羊ではない方の“カシミール”です・・・」~

TYPE : Flow

DATE : Feb 26, 2022

フローエンス トーキョーでは、E.MARINELLA(マリネッラ)の商品を数多く取り揃えております。
マリネッラの魅力をみなさまにもっとお伝えしたい!という想いでスタートした、マリネッラ店舗とフローエンスの合同連載。
マリネッラを熟知する マリネッラ ナポリ 丸の内 小林が、商品の背景とともにご紹介いたします。

マリネッラナポリ本店私設ミュージアム

ナポリ本店に厳重に保管される、当時、実際に使用されていた道具類と、ブルエッテ色のVINTAGEペイズリータイ(非売品)。

こんにちは、マリネッラ ナポリ 丸の内 の小林です。
いつも、FLOENS TOKYOをご覧下さり、誠にありがとうございます。
心より、御礼申し上げます。

さて、みなさま如何お過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
前回の「“287”番地というネクタイ」から引き続き、私、マリネッラ ナポリ 丸の内 の小林がマリネッラ商品の背景を 担当致します。
少々長く、また、お読みになり難い箇所もあるかと思いますが、最後までお付き合い下さい。というわけで、今回は表題にもありますよう“カシミール”です。

まず、みなさま、カシミールと聞いて思い浮かぶのは“カレー”ではないでしょうか。
そうです、あのインドカレーの中でも、ルーがシャバシャバ、チキンとジャガイモが入った激辛のあれです。
そして、私、デリー銀座のカシミールカレーが大好きです。
スパイスの刺激が脳を直接刺激するような、何ともクセになる良い意味で中毒性のある味です。
みなさまも是非、一度お召し上がり下さい。

そして、かなり話が脱線してしまいましたが、実は、私どもマリネッラでも“カシミール”があるのです・・・。(カレーではないです)

10年ほど前でしょうか、ナポリ本店を訪れた際、お客様でごった返す店内で、オーナーのマウリッツィオが地元の方と思われる男性の接客をしており、そのお客様から「カシミールのデザインのタイある?」と聞かれ、「もちろん、こちらです」とマウリッツィオが出していたのが、何と“ペイズリー柄”。

そう、そうなのです。
ペイズリー柄のことをイタリアでは“カシミール柄”や、”カシミヤ柄”とも呼ぶのです。

そして、接客が終わり、マウリッツィオに何と言っていたのか、またペイズリー柄のことなのか、どうにも気になったので確認してみたところ、「“カシミール”、ああ、カシミヤ柄ね。ペイズリーのことだよ。」と丁寧に教えてくれました。

あの時、私、ナポリ本店スタイルのマウリッツィオ直々の接客を、一言一句見逃してなるものかと、必死に横目で見つつ、内心で「カシミール?、はいはい、カシミヤ素材のタイのことね」と自信満々の早合点。
出てきたタイにびっくりしたことが思い出されます。

てっきり、”カシミヤ山羊”の方だと勘違いしていた私の“恥ずかしい思い出”は、人知れず墓場まで持って行こうと、今日の今まで隠しておりました・・・。笑

(注:これより便宜上“ペイズリー柄”に統一させて頂きます)

というわけで、このペイズリー柄ですが、20年ほど前、私どもの店舗が出来る前は、マリネッラのレジメンタルとペイズリー柄は“幻”と言われるほど、日本で入手するのは非常に困難でした。

また、現在も、小紋柄と比べると、その入荷量の少なさは歴然で、ネクタイ受注会の際にオーダー用生地として少量入荷することはあるものの、既製品となると、やはり数量がかなり限られてまいります。

そして、どうしてもメインの小紋柄に押されてしまい、あまりスポットライトを浴びずにいるペイズリー柄ですが、以前、ナポリ本店におけるペイズリー柄の背景についてマウリッツィオに聞いてみたところ、興味深い話が聞けたので、こちらでご紹介致します。



マウリッツィオ

常に温かい笑顔で、お客様とナポリ本店の店内の様子を見守るマウリッツィオ。
祖父であり、創業者であるエウジェニオから、マリネッラの哲学を直接伝授されたマリネッラ エレガンスの体現者です。
そのアドバイスを聞こうと、お客様がひっきりなしに世界中からナポリ本店のマウリッツィオの元を訪れます。

マウリッツィオ曰く、創業から英国製品を扱い、伝統的に英国製シルクをタイに使用するマリネッラにとってペイズリー柄は、英国のクラシックスタイルを踏襲する上で、大切な柄の一つであり、ハウススタイルの小紋柄同様に、由緒正しきクラシックスタイルの一つであるとのこと。
小紋柄、ピンドット、ストライプなどと同様にマリネッラにとっては、欠かせない柄であるそうです。

また、小紋柄のシルクプリント生地同様にペイズリー柄の生地も、伝統的な生産方法により英国の老舗シルク生地メーカーが、マリネッラのために織ったものになるので、その背景も伝統と歴史に裏打ちされた、出自のしっかりとしたものであるとのこと。

そして、一見、合わせが難しそうに見えるペイズリー柄ですが、マリネッラのペイズリー柄は、英国の昔ながらの伝統的な配色に則り、必ず、互いに合う色同士を組み合わせて配色を作り出す、それはまるで“カモフラージュ柄の配色”と同じように全体で溶け込むよう計算され作り出されたものであるそうです。

故に、自然と、クラシックな装いのスーツスタイルやジャケットスタイルに意図せずともよく馴染み、自然で洗練されたクラス感のある上品な装いを生み出すことが可能になるそうです。

「うーん、なるほど。これが伝統と歴史に裏打ちされたエレガンスというものか」と、
合点がいった記憶が思い出されます。

また、こうも話しており、興味深かったのは、何よりもベースの色は、ボルドーやグリーンといった英国古来のクラシックカラーは特におすすめで、“ペイズリーたる性格”を十二分に発揮できるベース色であり、ハウスカラーである紺ベースの小紋柄とは、また異なる、適切な抜け感を感じさせるシックなスタイルが楽しめるそうです。

「確かに、接客の時にマウリッツィオは、ブルエッテと呼ばれる青色や、英国らしいロイヤルブルーをおすすめしていたな、そういうものなのか」と、100年超の長きに渡り形成され続けた、マリネッラエレガンスの矜持を垣間見られた思い出が今でも鮮明に甦ります。

“ペイズリー”

その昔、古代ペルシャで誕生したとされ、18世紀頃には図象学にも用いられていたペイズリー柄。
これをヨーロッパにもたらしたのは、当時、強大な力を誇示していた英国でした。
そして、それ以降、ヨーロッパ諸国に伝播し、とりわけ英国では顕著に好まれたようです。

対して、日本においては、ペイズリー柄は、ダブルブレストのスーツ同様、“バブルの申し子”的なイメージに捉えられがちです。
ところが、実は、数多く存在する柄の中でも出自のしっかりとした、ある意味では

“柄の中のサラブレット”

であり、元来より生まれ持った品の良さは、それこそ、隠しても隠しきれない、滲み出るようなエレガンスを感じさせます。

さて、少々長くなってしまいましたが“ペイズリー”如何でしたでしょうか。

ナポリの詩人、ドメニコ・レアの“マリネッラへの叙述”の一節にもあるよう、マリネッラ家のライフスタイルにも当てはまるとされる「完璧なイタリア流イギリス様式」を是非お楽しみ下さい。

1914年の創業より、100年超の歴史に裏打ちされた“本物のマリネッラエレガンス”をお届け致します。

現在、ペイズリータイは、在庫僅少ではございますがフローエンス トーキョーで展開中です。
ご興味のある方は是非ご覧下さい。

  • emarinella-tokyo
  • マリネッラ ナポリ 東京ミッドタウン

    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア1F
    TEL : 03-5413-7651
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  • E. MARINELLA-Mrunouchi
  • マリネッラ ナポリ 丸の内

    東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア1F
    TEL : 03-3217-2871
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