マリネッラ ～“ナポリの縁起もの～
プルチネッラ POP UP“開催のお知らせ

というわけで、“プルチネッラ”と言われてお分かりになる方は、相当のナポリ通ではないかと思います。

ナポリに行かれたことがある方は、もしかすると土産物店の軒先やレストランなどでご覧になられたり、また、日本でも、“真のナポリピッツァ協会”に加盟をされているピザ屋さんの店頭に、この“プルチネッラ”がシンボルとなっている協会加盟の看板が出ていたりと、何かと目にする機会があるかもしれません。

一見すると、道化やピエロのようにも見える、プルチネッラのその特異な出で立ちは、白いダブダブのポンチョのような上着に、太いパンツ、そして、同じく、白の三角帽に黒色のマスク姿で、赤色の装飾品などを身に着けます。

そして、面白おかしく、軽快に動くその様子は、ナポリ人の生き方や、ナポリで生きて行く術、また、ナポリ人そのものを表すと言われることも。

また、プルチネッラについては、ナポリ以北、以南のイタリアではもちろん見ることはなく、あくまでナポリだけの土着的なもので、諸説あるものの、何でも、その昔、ナポリ近郊のアチェッラで、農夫をしていた、プッチョ・ダニエッロという実在の人物がモデルだと言われる説が有力であります。

さて、このプルチネッラですが、ナポリでは、

“お人よしで、お金持ちと権力者が大嫌い、そして、おしゃべりが大好きな大食漢、そして子沢山だった”

ことから由来して、子宝のシンボルともされます。

このようなキャラクターを持つ、プッチョ・ダニエッロこと“プルチネッラ”ですが、これまでのナポリの歴史を紐解くと、古くは、様々な国からの侵略を経て、今日のナポリが形成されたという歴史的背景も少なからず影響しており、つまるところ、このプルチネッラは、ナポリにおいて、戦争や侵略など、困難な局面に直面しても決してあきらめず、また、笑顔を絶やすことなく、切り抜けて生きて行く術を見つけることに長けた、“ナポリ人のDNAや、ナポリの街そのものを表すものだ”とも言われます。

サンタルチアから臨む、ヴェスヴィオ火山とナポリ湾、そして右手には卵城。この卵城の下には、卵が埋められており、その卵が割れるとナポリに災いが起るという伝説が残ります。善と悪、信仰と迷信が混濁する中に成立する街”ナポリ”らしい伝説に思います。