イザイアのジャージージャケットは、着心地がセーター感覚でテーラードの雰囲気は残したハイブリッドモデル。
TYPE : En
DATE : Nov 13, 2021
ヨーロッパで老舗、一流と呼ばれるブランドが今日残っているのは、常に時代の変化を絶妙に取り入れコレクションを進化させてきたから。
変化に乏しいと言われるテーラードの世界でもそこの舵取りは大切。
イザイアもこのニューノーマル時代にマッチしたモデルを次々に発表中。
ただし、モードブランドの様な劇的なデザインの変化ではなく、一見今までと同じ様でいて着用してみるとまるで別次元といった独自のアップデートを行っています。
今回取り上げたのは、イザイアのジャージー素材のジャケット。
一般的なジャージージャケットは、どちらかといえばジャケットの顔をしたカジュアルウェアといった感じで、楽チンでスポーティーに着るために振り切ったものがほとんどで素材感もチープ。
そのため、Tシャツやポロシャツといったインナーにはピタッと似合うのですが、ネクタイをするとか、クラシックなウールパンツと合わせるのは至難の技。
このイザイアのジャケットは、そうしたコンセプトのものとはまるで逆のアプローチで作られたもの。
ナポリの職人の技と長年培ったテーラリングに、最高級のウール系ジャージー素材(ウール89% ナイロン11%)をミックスしたもので、パッと見た目はジャージー素材とはわからないくらいで、ラグジュアリー感が溢れています。
ただ袖を通すとその着心地に驚くはず。
ジャージー素材独特の身体に沿ってくる感じはジャケットのパターンと相まって、その重さをほとんど感じないほど。
アップで見るとラペルのロールもテーラードジャケットの様な美しいカーブが出ています。
胸ポケットはパッチポケット。
このデザインは、開口部分が船底の様にカーブしたナポリテイスト。
ジャケットがマットな感じに見えるので、ネクタイはシルク系ではなくウール系の光沢感のないものを選ぶとシックにまとまります。
ここをニットタイにすると、ビジネススタイルでありながら程よいリラックス感が出せます。
今回のジャケットは、共生地で作られたパンツもあるので、写真の様にスーツで着ることも可能。
その時は、インナーをタートルネックにすれば、ニューノーマル時代のビジネススタイルが簡単に完成します。
ポンペイというモデルは、芯材を極力減らしスポーティーに仕上げているのが特徴。
サイズは、他のモデルに比べてハーフサイズくらい大きめ。
このジャージー素材はシワになりにくく長時間着ていても疲れないので、出張や車での旅行に最適。

COMFORT PROJECTと銘打った織りネームが付いています。
生地は細かな上質な糸で編み上げているので、ストレッチの効果が長く保たれ型崩れすることもほとんどありません。
ジャージー素材はチープでカジュアルすぎるという概念を覆す、イザイアならではの時代の流れに合わせた渾身の生地です。
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【Profile】 : スタイリスト / 大西陽一 氏
「メンズ・イーエックス」「レオン」「メンズ・プレシャス」「アエラスタイルマガジン」などで スタイリストとして活躍。親しみやすい人柄とファッションに対して熱い情熱を自ら表現し、 多くの方から愛されています。エディターの一面も併せ持ち、アルソーレの代表も務めています。