大西陽一 / STYLE

マリネッラの新作ドットタイはクレリックシャツでドレスアップが基本コーデ。

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DATE : Aug 14, 2021

ドット柄は日本では水玉模様とも言われています。
日本では、水玉という言葉の響きや、ワンピースやブラウスの柄などに使われることが多いので、この柄はカジュアルなものだと思っている方が多いのではないでしょうか。

実は、そのルーツを探っていくともう一つの顔があることが分かってきます。
ドット柄はイギリスでは、古くからあるクラシックな柄で、無地に次ぐ格式のあるフォーマルな柄だということを…

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イギリスでは、今の様なネクタイが出来上がった時には、無地、ストライプと肩を並べる人気だった様です。
ドットのネクタイと言えば、第二次世界大戦中に英国首相だった ウィンストン・チャーチルが有名ですが、実は彼の父親のランドルフ・チャーチル(1849年~1895年)もこの柄を愛用していて、画像検索をするとフォーマルなスーツにこの柄のボウタイを合わせています。
丁度日本の幕末から明治にかけてですから、いかにこの柄が歴史のある由緒正しい柄であったかが、お分かりいただけると思います。

ということで、今回はこのドット柄をどう今のスタイルに取り込むかを解説してみたいと思います。

上の写真は、ロンドンのとある生地商の方なのですが、ドットのネクタイをしていますが、点と点は少し離れた位置にありますね。
そして、ネクタイの結び目もふっくらとしていて大きさもかなりあります。
こうしたVゾーンは、イタリアではあまり見かけません。。

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さらに、よく見ると、襟が白でボディはブルーベースに白ストライプが入ったクレリックシャツを着ているのがわかります。
このクレリックシャツは、日本でも80年代後半に人気が出たシャツ。

そのきっかけは、1987年に公開された映画「ウォール街」でエリート証券マン役のマイケル・ダグラスが、このシャツを見事に着こなしていたから。
スーツの上着を脱いでオフィスで仕事する姿がよく出てくるのですが、襟の白さとボディのブルーのコントラストが、彼のキレッキレの性格を強調していました。

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このクレリックシャツとドットタイの組み合わせは、イギリス的なオーソドックスな組み合わせ。
特に、シャツのボディがストライプのものとの相性は抜群です。
もちろん、白やブルーの無地シャツと組み合わせても決まりますが、クレリックの方がVゾーンを引き締まって見えます。

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ここまで書くと、ドットタイは、スナップのジェントルマンの様なストライプのスリーピース(ピークドラペル)といった超クラシックなブリティッシュスタイルにしか似合わないのでは?!と思う方が多いと思います。

しかし、実はこのドットタイとクレリックシャツの組み合わせは、上の写真の様にイタリアンテイストのネイビー無地スーツにも見事にはまるのです。
このイタリアテイストのスーツ×イギリス調Vゾーンという組み合わせは、実は今季のトレンド。

とは言えクレリックシャツは、ハードルが高いと思っている方も多いと思いますが、見ていただいた様にシャツのストライプは、上着とネクタイに隠れてほんの少ししか見えないので、思ったほど派手な感じにはなりません。

定番の無地ネイビースーツも、この様にネクタイ&シャツでガラッと雰囲気が変わるので是非チャレンジしていただきたいスタイルです。

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ドットはプリントではなくジャカード織りで柄を出しているクラシックなシルク生地を使い、ナポリの職人が見事な柄あわせと手縫いで仕上げた名品です。


  • 【Profile】 : スタイリスト / 大西陽一 氏
    「メンズ・イーエックス」「レオン」「メンズ・プレシャス」「アエラスタイルマガジン」などで スタイリストとして活躍。親しみやすい人柄とファッションに対して熱い情熱を自ら表現し、 多くの方から愛されています。エディターの一面も併せ持ち、アルソーレの代表も務めています。