マリネッラ ナポリ 丸の内 小林 のナポリ解体新書⑳
~サン・ジェンナーロの奇跡~
TYPE : Flow
DATE : Sep 12, 2023
マリネッラ ナポリのコラムです。
マリネッラはもちろん、イタリアやナポリにまつわる四方山話を徒然なるままに、マリネッラ ナポリ 丸の内 小林がお伝えします。
マリネッラをご存じな方も、まだご存じではない方も、ネクタイ以外にも知っていただきたい「ナポリの魅力」を是非コラムでお楽しみください。

こんにちは、マリネッラ ナポリ 丸の内 の小林です。
みなさま、如何お過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
さて、今年もこの日が近づいてまいりました。
“Il miracolo di san Gennaro”
ナポリ大聖堂に保管される、普段は凝固しているはずのサン・ジェンナーロの血液とされる聖遺物が、なぜかこの日だけは融解をし、融解をしなかった年はナポリに災いが起るとされ、私どもマリネッラの本店がある“ナポリの明暗”を分けるとも言われるナポリ人にとってはとても大切な祝日であります。
そもそも、ローマカトリックのお膝下であるイタリアには、それぞれの市に守護聖人がおり、その守護聖人の日とされる日は祝日となります。
もちろんマリネッラが本店を構えるナポリにも聖人がおり、この聖人こそ“サン・ジェンナーロ”であり、ナポリ市内の旧市街にある大聖堂に祀られております。
このサン・ジェンナーロですが、地元ナポリ人に熱狂的に人気があります。その証拠に、ナポリ人男性に多い名前の一つとして必ず上位に挙がるのが”Gennaro ジェンナーロ ”であり、聖人サン・ジェンナーロに因んで命名される方が多いそうです。
その為、「こんにちは、ジェンナーロです」、「こんにちは、私もジェンナーロです」。であったり、「うちの主人のジェンナーロが・・・」、「あなたのご主人のジェンナーロさんが・・・」などなど、ジェンナーロさんが多数なんてケースもしばしば。
その様子を見ていると、ナポリの街とナポリの人々は、現代においても“サン・ジェンナーロに守られながら日々の営みが行われているのだな”と実感できるほど身近な存在であるように思います。
さてこのサン・ジェンナーロですが、なぜここまでナポリの人々に人気があるのかと言うと、とにかく超人的に強く、そして、人の英知や現代の科学をもってでも完全に解明することの出来ない“その奇跡”が続いている点にあります。
伝説によると、その昔、キリスト教迫害により、その命を狙われたサン・ジェンナーロは、火炙りの刑にされても火傷一つ負わなかった、また、猛獣の檻に入れられた際には、その猛獣がまるで猫のように懐いてしまったなどの逸話が残ります。

最終的には斬首刑となってしまうのですが、そのサン・ジェンナーロの血液が小瓶に納められ聖遺物として現在もナポリの大聖堂に大切に保管されており、普段は凝固しているはずの血液が何故か、年に3回だけ融解する日があり、そのうちの一つが9月19日なのです。
そして、この日に血液が融解しなった年には、ナポリに災いが起こるとされ、
過去、カンパーニャの大地震、ヴェスヴィオ火山の噴火など、これらが起こった際は血液融解の奇跡が起らなかった年であったとされます。
故に、この日はナポリ人にとってはナポリの行く末を計る大切な祝日であり、みなさん血の融解の報告を待ちわびます。そして血の融解が報告されると、ナポリ市の大切なモニュメントの一つであるヌォーヴォ城で21発の祝砲が放たれ、ナポリ中が一気にお祝いムード全開となるのです。
因みに、このサン・ジェンナーロの奇跡ですが、南イタリアからの移民が多かったニューヨークのリトルイタリーや、ブラジルのイタリア人街などでもお祝いされます。
如何でしたでしょうか、ナポリのサン・ジェンナーロの奇跡。
善と悪、信仰と迷信が入り混じり混濁した中に成立する街ナポリにぴったりの奇跡に思いませんか。
それでは、また次回に。お付き合い頂き、ありがとうございました。
丸の内にお越しの際は、是非、店頭にも遊びにいらして下さい!
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マリネッラ ナポリ 丸の内 小林正弘
「いつも、フローエンスをご覧下さりありがごとうございます。 マリネッラ ナポリ 丸の内におります、小林と申します。 ナポリについては、下手の横好きですが、また以前のようにナポリに行けるようになる“その時に”役に立つ情報などなど、 織り交ぜられたら良いなぁなどと思っております。 駄文ですが宜しくお願い致します。」
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マリネッラ ナポリ 丸の内
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