アメリカ流のジャケパンスタイルからトレンドのスーツスタイルまで合わせられる
マリネッラ のピンドットタイ。
TYPE : En
DATE : May 29, 2021
イギリスの20世紀のポップアートの先駆者として有名な画家のデビッド・ホックニー(1937年〜)。
彼が1964年にロサンゼルスに移住してから発表されたポラロイド写真を張り合わせた作品や、アメリカ西海岸のライフスタイルを明るい独特の色で描いた作品は今でも人気が高く、2018年にはニューヨークのメトロポリタン美術館で大回顧展が行われるほど。
彼を今回このコラムで取り上げたのは、その昔雑誌で見たポートレートのことを思い出したから。
ロンドンの超名門ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業した優等生の彼は、若い頃からひんぱんに雑誌やTVのインタビューでブリティシュファッションを一捻りしたコーディネートで登場していました。
中でもネクタイをしたポートレートが多く、カラーシャツにボーダーのニットタイというようなかなり斬新な組み合わせに驚きましたが、改めて見直すと今のトレンドそのもので、そのまま真似したくなるものばかり。
一番印象に残っているのがクラシックなドットのネクタイとジャケットに白シャツ、それにアメリカ的なスポーティなキャップを合わせたスタイリング。
なんと、パンツはチノパンで靴はコンビのウィングチップというかなり変則的な組み合わせですが、これが全体で見ると全く違和感がないのです。
E.MARINELLA(マリネッラ)のブラックベースのドットタイは、単品でみるとかなりクラシックな佇まい。
この柄は、 ドットの大きさが小さいほどクラシカルで大きくなるにつれカジュアルに見えるのが特徴。
針(ピン)で開けたような白い点があるものはピンドット、それより少しドットが大きくなって間隔が広がったものがポルカドット、硬貨(コイン)に近いような大きなものはコインドットと呼ばれます。
ちなみに ポルカドットのボウタイは、イギリスの政治家のウィンストン・チャーチルが頻繁にしていたので、ドットタイというと彼を思い出すイギリス人がいまだにいるとか。
日本でも最近立て続けに彼を描いた映画やドラマが 公開されたので、このネクタイを再認識した方も増えたように思います。
そんな ドットタイを 今回は、デビッド・ホックニーのようにアメトラ(アメリカントラッド)風にスタイリングしてみました。
今回のポイントは、クラシックなピンドットのネクタイをスポーティなB.D.シャツに合わせたところ。
ネクタイ単品を見ると、ついついレギュラーカラーやクレリックカラーのシャツと合わせてしまいがち。
そこを一捻りするアイディアをひらめいたデビッド・ホックニーは、さすがですね。
パンツも彼に習いチノパンにしていますが、ここをグレーのウールパンツに変えるとよりビジネス向きになります。
全身で見ると、かなりカジュアルなアメトラという感じですが、黒ベースのドットタイと黒のウィングチップが、スタイリングを程よく引き締めています。
キャップはあくまでデビッド・ホックニーのポートレートに習っただけなので、初めてこのスタイルにチャレンジという方はかぶらない方が安全。
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黒のピンドットネクタイが本領を発揮するのはやはり、スーツスタイル。
特にグレースーツとの相性は抜群で、トレンドのタブカラーシャツやラウンドカラーシャツにすると、イタリア流のVゾーンにはないシャープでモダンなイメージが作れます。
上の写真では、タイバーと呼ばれるアクセサリーを使ってレギュラーカラーシャツのイメージをリニューアルしてみました。
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この時ドットタイはノットをいつもより少し小さく結ぶのがポイント。 タイバーを使うとフォーマル度が上がるので、結婚式や星付きレストランでディナーなどというハレの場にうってつけです。
使うときのポイントは、着るシャツのえり型 の選び方を間違うと取り付けられなくなること。
えり先が開いたワイドやセミワイドは使えないので、レギュラーとかロングポイントのシャツを選んでください。
細かいようですが、ここはお忘れなく!!
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【Profile】 : スタイリスト / 大西陽一 氏
「メンズ・イーエックス」「レオン」「メンズ・プレシャス」「アエラスタイルマガジン」などで スタイリストとして活躍。親しみやすい人柄とファッションに対して熱い情熱を自ら表現し、 多くの方から愛されております。エディターの一面も併せ持ち、アルソーレの代表も務めております。