大西陽一 / STYLE

モードとミリタリーのエッセンスをほどよくミックスしたシーラップのバルカラーコート。

TYPE : En

DATE : Oct 23, 2021

日本ではステンカラーコート(和製英語)という呼び方でおなじみのバルカラーコート。

日本では1960年代のIVYスタイル(アメリカ東部の名門大学の学生たちの着こなし)の流行とともに、コートというとこれ!!というくらい人気が出て、そのままビジネスウェアとしても使われる様になりました。

1961年公開の映画「ティファニーで朝食を」ではオードリー・ヘップバーン演じるホリーと恋に落ちる、作家志望の青年ポールが、ベージュのバルカラーコートを細いネクタイにジャケットというスタイルに羽織っていたのが印象的でした。
(60年以上前の映画ですが、ポールのスタイリングは今見るとモードっぽくも見えて斬新)

その様な経緯などがあったので、バルカラーコートは日本では、トレンチコートと共に昭和を代表するビジネスコートという存在にまでなりましたが、2000年になってからはイタリアンスタイルのブームもあり、しばらく日陰の存在的に。

ところが、最近のモードブランドが提案する「ちょっと古臭い服が逆にクール」「ヴィンテージテイストのアウターとモダンなスニーカーやバッグをミックスするのがトレンド」といった流れと、ミリタリーウェア(ヴィンテージ)の流れが混じり合うことで、それまでのイタリアンスタイルにはあまりみられなかったアイティムが注目されるようになりました。

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今回は、そうしたトレンドを上手くミックスしたバルカラーコートがシーラップの新作にあったのでピックアップ。

一見するとシンプルなネイビーのバルカラーコートに見えますが、着ると今までの定番コートとの違いがはっきりとわかります。

まず、着丈がひざ下まできていて、肩はラグランスリーブではなくセットインスリーブでやや幅広め。
サイズ感は、モードブランドが提案しているオーバーサイズをシーラップなりにモディファイして、ほど良いゆるさを出しています。

今回は、パンツをブラックウォッチ柄にすることで80年代に盛り上がったフレンチトラッドの感じをプラスしましたが、モードに振りたい方は、パンツをブラックデニムにすると激変します。

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正面から見ているとすそに向かってほどよく綺麗に広がっていましたが、実はかなりのAライン。
歩いた時に、フワッと広がるところがエレガント。

それと定番バルカラーコートとは違う、このフラップ付きのかなり大きめのパッチポケットからは、ミリタリーテイストをほんのり感じます。
実はこのポケットがこのシンプルなコートに、トレンド感をプラスしていたのです。

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バックスタイルはとてもシンプル。
コートのえり裏には、ミリタリーコートを彷彿させる生地をはりステッチが入っています。
これが今までのイタリアンスタイルのコートなら、背中にプリーツや短いベルト(帯)を縫いつけたりとコテコテのクラシックに仕上げるところ。
シーラップのこのシンプルなデザインは、モード感満載。

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実は、シンプルに見えるバックスタイルですが、センターベンツが深く入っていてトレンチコートの様にプリーツにボタン留めという仕様。
これは、ミリタリーコートによく見られるものですが、こうした部分にデザインコンセプトが伺えます。

昔は、こうすることでバイクや馬に乗った時に便利だったということだった様ですが、現代はあくまでその時代の気分を残すデザインでしかありませんが、こうした部分を残すことでミリタリーコートのDNAを残しています。

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平置きすると程よいAラインになっているのがお分かりいただけると思います。
こうしたコートは、今まであまりイタリアのブランドでは見かけなかったデザイン。

どちらかというとフレンチテイストといってもいい様な雰囲気。
パリの人たちは、休日になるとこの様なコートをセーターの上に着て、カフェに行ったりバゲットを買いにいくなどといった光景をよく見ます。

ウールのバルカラーコートと聞くとどうしてもビジネス専用?!と考えがちな方が多いと思いますが、このシーラップのコートはちょっとパリジャン風に普段使いすることも可能です。
ぜひお試しください。


  • 【Profile】 : スタイリスト / 大西陽一 氏
    「メンズ・イーエックス」「レオン」「メンズ・プレシャス」「アエラスタイルマガジン」などで スタイリストとして活躍。親しみやすい人柄とファッションに対して熱い情熱を自ら表現し、 多くの方から愛されています。エディターの一面も併せ持ち、アルソーレの代表も務めています。